公益財団法人
浅香山病院

「包括的暴力防止プログラム(CVPPP)
の導入による職員の安全確保」
「時間外労働の削減と計画的な
休暇取得率の向上に向けた取組」

設立 大正 11 年
所在地 堺市堺区
病床数 1,171 床(精神病床 948 床・一般病床 223 床)
入院基本料 7 対 1 ほか
職員数 全職員: 1,100 名 / 看護職:常勤 468 名、
非常勤 35 名 / 看護助手:常勤 107 名、
非常勤 37 名

取組のきっかけ、
取組前の問題点

 大正 11 年、病院開設から今日まで精神科病院のパイオニアとして約 100 年間の歴史を刻んできた。その中でも、病院は職員あってこそのものだと考え、職員の意見を尊重し、労働組合を通じて職員のニーズを聞き取ることで日々勤務環境の改善に取組んでいる。
 昨今は認知症を患った患者の増加による職員への暴力行為が見受けられるようになり、患者と職員の安全・安心の確保が課題となっていた。また、有給休暇取得においても、 30 %以上の有給休暇取得率を目指していたが、部署によっては達成が難しい状況が続いていた。

取組の体制・
中心人物

 労働組合を通じて従業員からの声を把握している。把握した従業員からの声(課題)に対して人事部にて対策を立案し、各部門長を通じて各部署にて対策の推進を行っている。

概要

包括的暴力防止プログラム(CVPPP)の導入による職員の安全確保

 認知症患者の増加とともに、看護提供時、職員が暴力を受けることが見受けられた。しかし、暴力の定義が曖昧であるため、アクシデントレポートもあがってこず、対策が実施できない状態が続いていた。そこで、暴力の定義及び報告書の記載基準を明確にした上で「どの部署で、いつ、どのような暴力が起きているのか」を調査し、当データを大阪大学と共同で検証した。
 その結果、暴力の発生時間はケアの時間であり、場所はベットサイドにおいて一人でケア対応をしている時の発生割合が高いこと、報告の半数は入職 1 年目から 3 年目までの職員からであることが判明した。この結果を活かし、バイタルサインの測定や生活ケアの方法において、「包括的暴力防止プログラム(CVPPP) ※1」や「ユマニチュード ※2」を導入し、患者から職員への暴力を防ぐ取組を始めている。今後、この2つのプログラムを活用することで、患者・職員それぞれの安全と安心を両立した教育システムを作っていくことが必要だと考えている。

※1 包括的暴力防止プログラム(CVPPP)
 精神科医療領域の現場における暴力に対し専門的知識・技術に基づいた包括的な対処方法を習得することにより、対象者及び医療関係者の安全を図り、効果的な暴力への対処能力を高め、医療現場における治療的環境の向上を図るプログラムである。攻撃的な人へのケアとして、如何に適切に関わるかという治療的な視点でプログラムを構成し、リスクアセスメントの方法、コミュニケーション技術による興奮状態への介入方法、回避方法、身体的介入技法、心理的サポートからなっている。

※2 ユマニチュード
 認知症を患った人のケアをするため、フランスのイヴ・ジネスト氏によって開発された方法で、人と人との関係性に着目し、ケアの対象者に大切に思っていることを伝え、確認しつつ行うケアである。見る、話しかける、触れる、立つという 4 つの方法が柱となっていて、全部で約 150 もの技術がある。


時間外労働の削減と計画的な休暇取得率の向上に向けた取組

 一部の部署だけでなく、全部署における働き方、休み方の向上のため、上期下期の年 2 回、各部署における時間外勤務時間の目標値を設定し人事部へ提出した後、実績を報告するという取組を行っている。また、特に有給休暇取得率が低い部署には、人事部が面談を実施し、取得率の向上に向けたアドバイスを行っている。
 平成 27 年度からは毎月 2 日間の計画年休を導入し、有給休暇取得率の更なる向上に取組んでいる。また、労務管理研修により管理者への労務管理に関する情報提供と意識改革も継続的に実施している。

実施後の成果や
見えてきた課題

 大阪大学との「患者暴力」に関する共同研究は、職員の技術向上だけでなく、技術力に自信が持てず退職してしまう職員を定着させることにも繋がっていると考えている。
 有給休暇の取得率向上や時間外労働の削減では、何も対策を講じていなかった平成 21 年度と比較して、平成 26 年度には有給休暇取得率 30 %未満の部署が 9 部署から 3 部署まで減少している。
 また、平成 27 年度からの計画年休の導入では、導入によって看護部では現場の勤務調整が難しく、管理者はいかにして「有給休暇の取得」と「看護配置基準の維持」を両立させるかが課題となっている。しかし、時間外労働や有給休暇の取得は「意識変革」によって改善する部分も多分にあると考えている。組織が大きいため、「意識変革」を浸透させること自体に難しさもあるが、時間外労働削減の方法論の伝授や情報提供を丁寧に行うことで、更なる浸透を目指したい。
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